タマゴわざ
タマゴわざとは、タマゴから生まれてくるポケモンが、覚える特別なわざのこと。親のポケモンのわざと同じもののため、遺伝技(いでんわざ)とも呼ばれる。
遺伝の条件
以下の条件を満たしているわざは、「そのポケモンがレベル1で覚える」と設定されているわざ以外に覚えた状態で生まれてくる。
ただ、レベルアップ・わざマシン・わざおしえ人によって覚えられるわざの場合、無理にタマゴから生まれてくるときに覚えさせる必要がないため、特に「タマゴわざ」「遺伝技」とだけ言う場合、1つ目の「タマゴわざ」として設定されているわざのみのことを指す場合が多い。
- タマゴわざ
- わざマシン、ひでんマシンのわざ(第五世代まで)
- 生まれてくるポケモンが、そのわざを覚えられること。
- ♂または性別不明が覚えていること。
- 第六世代から遺伝しなくなった。
- オヤジわざ(クリスタル)
- 生まれてくるポケモンが、そのわざを覚えられること。
- ♂が覚えていること。
- レベルアップで覚えるわざ
- 生まれてくるポケモンがレベルアップで覚えられるわざであること。
- ♂と♀が両方ともそのわざを覚えていること。
例外
遺伝方法
1つのタマゴわざを遺伝させたいなら、「タマゴわざを覚えさせたいポケモンの♀」と「その♀のポケモンとタマゴグループが同じかつそのタマゴわざを覚えているポケモンの♂」を用意すればよい。第六世代以降は♀がタマゴわざを覚えていてもいいが、それはすなわち既に遺伝が成功したということになるので、この節では考慮しない。
具体的な例として、XYでタツベイにタマゴわざのりゅうのまいを覚えさせたい場合、同じタマゴグループ「ドラゴン」であるタッツーがりゅうのまいをLv38で覚えるので、Lv38以上のタッツー♂を用意しタツベイの♀と育て屋に預ければりゅうのまいを覚えたタツベイのタマゴが発見できる。
しかしながら、前者のポケモンはともかく後者の方を用意するのがやや手間な場合がある。
- そのタマゴわざを覚えるポケモンの覚える方法がタマゴわざである、という場合。例えばムックルにリベンジを覚えさせたいとき、タマゴグループ「ひこう」かつリベンジを覚えるポケモンはカモネギしかおらず、しかもカモネギがリベンジを覚える方法もタマゴわざである。カモネギにリベンジを覚えさせるには、同じタマゴグループ「りくじょう」で、Lv1でリベンジを覚えるマニューラの♂から遺伝させることができる。このように、マニューラ→カモネギ→ムックルと道を辿るように遺伝させていくことから、このことを「遺伝経路」と呼ぶ。
- 覚えるポケモンの♂が過去作でしか出現しない、もしくはそのわざが過去作でのみ覚えられる場合。GTSで流れてくる可能性もあるが、確実に欲しいならやはり過去作のプレーが必要。ミニリュウのしんそくなどが有名。
これらを複合した極端な例として、XY時代におけるヒトツキのワイドガードがある。遺伝経路(の1例)はママンボウ→ミズゴロウ→ナエトル→パラス→イシズマイ→ヒトツキであり、またミズゴロウ・ナエトルはXYでは出現しないため、過去作から持ってくる必要がある。ちなみに、ORAS以降はダイノーズがワイドガードをレベルわざとして覚えるようになったので、そこから直接遺伝させることができるようになった。
同時遺伝
2つ以上のタマゴわざを一度に遺伝させることを同時遺伝という。特に、異なるポケモンが覚えるわざを1匹のポケモンに遺伝させることを指す。
第五世代まで
♂が覚えていたわざしか遺伝しなかったため、子に覚えさせたいタマゴわざは、♂に全て覚えさせておく必要があった。そのため、わざの組み合わせによっては♂親に全て覚えさせる手段が存在せず、択一になってしまう組み合わせもあった。
たとえばゼニガメにミラーコートとアクアジェットを遺伝させたい場合、ゼニガメの属するタマゴグループ・かいじゅうおよびすいちゅう1の中でミラーコートを自力習得するポケモンはサニーゴのみだが、サニーゴはアクアジェットを覚えることはできない。したがって、サニーゴが覚えるミラーコートをそのまま遺伝させようとした場合、アクアジェットを遺伝させることができない。
こういう場合、ミラーコートを遺伝できるかいじゅうまたはすいちゅう1グループのポケモンの中から、アクアジェットを自力習得できるポケモンを探す。ママンボウはアクアジェットをレベルアップで習得し、かつミラーコートをタマゴわざで覚えるので、いったんサニーゴ♂とママンボウ♀でタマゴを作り「ミラーコートを覚えたママンボウ♂」を手に入れ、レベルアップでアクアジェットを追加したうえでゼニガメ♀とタマゴを作る。こうして初めて同時遺伝が成立する。
しかし中にはこういった経路が存在しないわざの組み合わせもあり、例えば同じくゼニガメにおいて、しおふきとアクアジェットを同時遺伝させることは不可能であった。かいじゅうまたはすいちゅう1グループに属する他のポケモンで、「しおふきをタマゴわざで覚えてアクアジェットを自力習得するポケモン」およびその逆は1匹も存在しない。しおふきはテッポウオ系列にタマゴわざで覚えさせたものを親にしなければゼニガメに遺伝させられず、そしてテッポウオはどうやってもアクアジェットを習得できない。したがって、ゼニガメにおいてアクアジェットとしおふきの両立は不可能だった。
りくじょうグループに属しているポケモンの場合、ドーブルがスケッチによってほとんどのわざを自由に覚えられるため、遺伝経路を気にする必要がなく、どのようなわざでも同時遺伝することが可能だった。
同時遺伝が不可能な別のケースとして、同じポケモンの組み合わせでも、状況によって違うポケモンが生まれてくる場合。例えばまんぷくおこうの所持/非所持によってゴンベが生まれるかカビゴンが生まれるかが変わる場合など。カビゴンだとじわれはカビゴンのタマゴを作る場合にしか遺伝しないが、じばくとしねんのずつきはゴンベのタマゴを作る場合にしか遺伝しない。そのため、これらのわざを両方とも遺伝させたカビゴンを作るのは不可能である。
第六世代から
仕様変更により♀からも同様に遺伝するようになった。
上記のゼニガメのしおふき+アクアジェットの例でいくと、しおふきを覚えさせたテッポウオ♂を用意し、ゼニガメ♀とタマゴを作り、しおふきを覚えたゼニガメ♀を用意する。その後別にアクアジェットを覚えた♂親を用意し、しおふき持ちゼニガメ♀とタマゴを作ると、アクアジェットとしおふきを両方覚えたゼニガメが誕生する(ここで性別を指定しているのは遺伝のためではなく、生まれてくるタマゴをゼニガメにするため)。
これにより、りくじょうグループ以外でも原則として同時遺伝不可能な組み合わせが無くなったが、先述のゴンベとカビゴンのようなケースの場合は事情が異なるので、第六世代以降も同時遺伝不可能なままである。
この仕様変更により、両親のタマゴわざが合わせて5つ以上になるケースが発生する。このとき生まれる子供の技スロットにおいて、♂側の技が入った後、♀側の技が下から"押し出す"形で遺伝する技が決定する。押し出されたタマゴわざは遺伝しないためわざおもいだしでも思い出せない。
ゼニガメ♂×ゼニガメ♀でタマゴを作る場合を考える。以下名前が出ている技は全てゼニガメのタマゴわざである。
- (アクアジェット/ねこだまし/はどうだん/しおふき) × (ミラーコート/アクアリング/あくび/くろいきり)
= (ミラーコート/アクアリング/あくび/くろいきり)- ♀の技が全てタマゴわざなので、♂の技は全て押し出される。
- (アクアジェット/ねこだまし/はどうだん/しおふき) × (アクアジェット/ねこだまし/あくび/くろいきり)
= (はどうだん/しおふき/あくび/くろいきり)- ♂の技に次いで♀の技も覚える際、 アクアジェット/ねこだまし はすでに覚えているため押し出されずにスロットの位置も変わらない。ただし あくび/くろいきり もタマゴわざであるため結果的に アクアジェット/ねこだまし は押し出されてしまう。両親とも覚えている技が必ずしも遺伝するとは限らない。
- (はどうだん/しおふき/アクアジェット/ねこだまし) × (アクアジェット/ねこだまし/あくび/くろいきり)
= (アクアジェット/ねこだまし/あくび/くろいきり)- 2.とは♂の技スロットの順を変えただけだが、今度は押し出される技が はどうだん/しおふき になる。
例のように♀が多くのタマゴわざを覚えていると♂の技は遺伝しにくい。♂の覚えさせたい技は後方に置いたり、♀のタマゴわざをわざマシンなどで適当な技に置き換えたりする手法で対処できる。
後天的なタマゴわざの習得
第八世代からは2匹の同種のポケモンを預かり屋に預けると、技を3つ以下しか覚えていない片方のポケモンにもう片方のポケモンが覚えているタマゴわざを覚えさせられる。
- 具体例として、ムーンフォース/ねがいごと/あまえる/あくびを覚えたニンフィアAと、ムーンフォースのみ覚えたニンフィアBを一緒に預けた場合、ニンフィアBはタマゴわざであるねがいごと/あまえる/あくびを覚える。
- 預ける2匹のポケモンの性別が同じでもタマゴわざを覚えさせられる。
- 預けるポケモンは同種でなければならないため、同じタマゴグループの別種のポケモンを預けたり、進化前と進化後を預けてもタマゴわざを覚えさせられない。
- 同じ図鑑No.のポケモンであれば、通常の姿とリージョンフォームを預けてもタマゴわざを覚えることができる(ただし、通常の姿とリージョンフォームでは覚えられるタマゴわざが異なることがあるため注意が必要)。
- 普通に遺伝して覚えたタマゴわざと異なり、後天的に覚えたタマゴわざは一度忘れさせるとわざおもいだしで思い出すことができない。
備考
- タマゴわざはタマゴを見つけたソフトに依存する。タマゴを孵化させる前に他のソフトへ移動し、そのソフトでは覚えられないタマゴわざを覚えていても問題ない。
- 第六世代以降、わざマシンで習得可能なわざをタマゴわざとして遺伝させられなくなった。ただし、元からタマゴわざとして設定されたわざであれば、わざマシンやわざおしえで習得可能なわざも問題なくタマゴわざとして覚えられる。
- タマゴわざに入っているが、親にできるポケモンの中にそのわざを覚えることができるポケモンが全くなく遺伝経路も存在しない、というケースもまれに存在する。
- 例えば、第二世代のカビゴンはあまえるを覚えることになっているが経路が無いので覚えられない。後の世代では覚えるようになっている。
- 第三世代のカビゴンにじわれを覚えさせる手段がなかったが、後にポケモンXDによって同世代内で経路が用意されたという例もある。
- 当初は遺伝の親を用意する手段が無かった上に、後の世代では削除されて覚えられないままというのは、今のところポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバーにおけるノズパスのもろはのずつきのみ。
- ヒトデマンの場合はそもそも性別不明でありタマゴわざを覚えることが通常プレイでは有り得ないのにもかかわらず、オーロラビーム、バリアー、ちょうおんぱが金・銀のタマゴ技に設定されていたが、クリスタル以降では削除されている。このようなケースは現時点でヒトデマンのみ。
- 第六世代以降はタマゴわざを忘れさせても、レベルアップで覚えたわざと同様に、わざおもいだしで思い出させることができるが、思い出せるのは第六世代以降で孵化させたタマゴから産まれたポケモンのみである。
- タマゴわざはタマゴを見つけたソフトに依存するため、思い出しを行うソフトで本来覚えられない技であっても問題は起こらない。例えば先述のドレインキッスを覚えた状態で生まれたラルトスにいったんドレインキッスを忘れさせた場合、XYの思い出しでもドレインキッスを再習得できる。