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大韓民国におけるポケモン

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この項目では、大韓民国におけるポケットモンスター(포켓몬스터 Poketmonseuteo)シリーズの展開について説明する。韓国におけるポケモン商品の公式展開は1999年SBS無印編第1話が放送されたことに始まる。第一世代のゲームは発売されておらず、2002年にポケットモンスター 金・銀がポケットモンスターシリーズのゲームとして初めて韓国国内で発売された。

歴史

日韓(日朝)関係の問題により、日本からの文化輸入、マンガ・アニメ・テレビゲーム・音楽・映画などは第二次世界大戦後に韓国が独立するまで政府によって禁止されていた。この規制は、日本および西洋においてテレビゲームが人気を博し始めた1980~1990年代においても有効であった。多くの韓国・朝鮮の企業はこの規制をなんとかくぐり抜けようとし、日本のゲーム機のアメリカ版とライセンスを結ぶなどした。たとえば、現代電子産業(ヒュンダイ・グループ)は日本のファミリーコンピュータの代わりにアメリカのNintendo Entertainment Systemのライセンスを取得し、현대 컴보이(ヒュンダイ・コンボイ)として発売している。しかしながら、他に禁則を回避する手段はなく、ポケモンについても例外ではなかった。当時のポケモン関連のメディアはほぼ全て公式に韓国に輸入されることはなかった。これには第一世代のすべてのゲームが含まれ、当時韓国で出回ったものはいずれも、密輸品・詐欺・非合法なものであった。

1998年10月、ようやく日本の文化輸入が一部認められるところまで日韓関係が回復した[1]。これにより、いくつかのポケモン関連のタイトルが韓国で発売されることとなった。特に、1999年7月、韓国のテレビでポケモンのアニメ放送が開始し、ポケットモンスターSPECIAL포켓몬스터 스페셜 Pocket Monsters Special)が1999年8月に発売された。しかしながら、韓国語のポケットモンスターシリーズとして最初に発売されたのは2002年4月に大元 C.I.株式会社 (대원씨아이 Daewon C.I.)社によって発売されたポケットモンスター 金・銀포켓몬스터 금・은 Pocket Monsters Geum・Eun)であった。この遅れは、韓国語表示システムの導入の難しさによるものと見られている。また、同様の問題によるものか、ポケットモンスター クリスタルバージョンおよび第三世代のゲームも発売されていない。これには、ヒュンダイがゲームボーイカラーおよびゲームボーイアドバンスのライセンスを取得していおらず、動作環境が確保できなかったことも原因として考えられる。したがって、大元 C.I.はポケットモンスター ルビー・サファイアの日本語版を輸入し、포켓몬스터 루비·사파이어 Pocket Monsters Ruby·Sapphire のタイトルで発売した。ゲームのカバーとマニュアルは韓国語に翻訳されたが、残る部分は日本語のままでの発売となった[2]

2004年1月、韓国政府は日本の文化輸入を完全に解禁し[3]任天堂も韓国任天堂株式会社 (한국닌텐도(주) Nintendo of Korea, Inc.) として2006年7月に韓国での事業を開始した。Pokémon Korea (포켓몬코리아 Pokémon Korea, Inc.) もその1ヶ月後営業を開始した[4]。こうした中、大元 C.I.はポケットモンスター ダイヤモンド・パール포켓몬스터 다이아몬드・펄 (Pocket Monsters Diamond・Pearl) として輸入を始めた(ルビー・サファイア同様にカバーのみ韓国語に翻訳した日本語版として発売した)[5]。これに続き、2007年1月、ニンテンドーDS Liteが任天堂公式の韓国語のゲーム機として、韓国任天堂から初めて発売された。さらに、2008年2月、ポケットモンスター ダイヤモンド・パールも포켓몬스터 DP 디아루가·펄기아 Pocket Monsters DP Dialga・Palkiaとして初めて公式発売された。しかしながら、2010年のポケットモンスター ブラック・ホワイト (포켓몬스터 블랙・화이트 Pocket Monsters Black・White) 発売まで、韓国語版のゲームは他のリージョンで遊ぶことはできなかった(韓国語の表示問題による)。

公式発売以降、ポケモンは韓国において十分な成功を収めている。韓国においても、日本および世界の他の国々での発売とほぼ時期を合わせて発売が可能となった。ポケットモンスターSPECIALの韓国語版は北米において英語版が発売されるよりも前に発売されており、新しいカードゲームの商品も他の言語版とほぼ同じタイミングで発売されている。ポケットモンスター X・Y (포켓몬스터 X・Y Pocket Monsters X・Y) においては、世界同時発売の一つとしてすべてのリージョンで使用する言語に韓国語を選択することができる。また、李ヒョンジョン (이현정)がゲームフリークの韓国人社員としてポカブチャオブーエンブオーのデザインを手がけ、カードゲームにおいてもいくつかのイラストを担当している。2014年には、ポケモンワールドチャンピオンシップス2014X・Y部門マスターディビジョンにおいて、パク・セジュン (박세준)が韓国人として初めて優勝している。

他言語版との共通点

韓国におけるシリーズ展開は、日本におけるものと北米におけるものを取り合わせたものになっており、一部は韓国独自のものとなっている。

現在、韓国での商品展開は、欧州において北米での展開をなぞるように、日本での商品展開をなぞるようになっている。一部ポケモンやNPCの韓国語名は日本語名の音訳となっている。たとえば、ニンフィアの韓国語名は님피아 Nimpia である(英語名などはSylveonであり、日本語名との関係はない)。さらに、韓国での配布ポケモンは日本での同様のイベントを元に行われており、欧州や北米でのイベントを元にすることはほぼない。たとえば、2012年の辰年にちなんだドラゴンポケモンのタマゴ配信は韓国でも行われているが、欧米においては行われていない。また、「포켓몬스터 (ポケットモンスター)」の名称がすべてのゲームのロゴに用いられており、欧米において「Pokémon (ポケモン)」がロゴに用いられているのと対照的である。

一部において、北米の商品展開をなぞることがある。たとえば、カードゲームにおけるロゴのデザインは北米のゲームのものを元としている。また、ルビー・サファイアの発売時、(ポケットモンスターSPECIALに見える)ポケモンの名前は英語名を使用していた。たとえば、スバメオオスバメの韓国語名はそれぞれ테일로 Teillo(英語名Taillow)、스왈로 Seuwallo(英語名Swellow)であり、エネコロロの韓国語名は델케티 Delketi(英語名Delcatty)である。

しかしながら、ほとんどの場合、韓国におけるポケモンは韓国独自の命名がされている。多くのポケモンは、韓国語固有の名前を持ち、たとえば켈리몬 Kellimonカクレオン)、모아머 Moameoハハコモリ)、목도리키텔 Mokdorikitelエリキテル)などが挙げられる。また、登場人物についても同様であり、한지우 Han Ji-uサトシ)、로사 Rosa ・로이 Royムサシコジロウ)、목호 Mokhoワタル)などといった独自の命名がされている。

その他ポケモンの韓国語名については、ポケモンの韓国語名一覧を参照。

ゲーム

韓国政府の文化輸入規制により、第一世代のゲームは公式に発売されていない。1998年に規制が緩和されたのち、2002年にポケットモンスター 金・銀 (포켓몬스터 금・은 Pocket Monsters Geum・Eun) が発売された。ポケットモンスター 金・銀の過去のローカリゼーションと異なり、これらのバージョンは元のゲームボーイでプレイすることはできず、カセットを挿して遊ぼうとする際にはその旨がメッセージとして表示される[6]。理由は定かではないが、ポケットモンスター クリスタルバージョンは韓国語版の発売はされなかった。これには、ゲームボーイカラーの海外における展開がほぼ終了していたことも関わっているかもしれない。同様に、第三世代のゲームも韓国語版の発売がされていない。

2008年2月より、第四世代のすべてのゲームが韓国で発売された。いくつかのスピンオフのゲームに関しても、韓国で発売されている。第五世代のゲームが発売されたのは2011年で、ポケットモンスター X・Yは全世界同時発売として韓国でも発売された。

配布ポケモン

ポケットモンスター ダイヤモンド・パール発売より、韓国においてもローカルイベントがしばしば開かれている。これらのイベントは、通常韓国語版ポケモン公式サイトで告知される。ポケットモンスター ブラック・ホワイト発売後、PGLの公式韓国語版および様々なWi-Fiでの大会が、国際・ローカル(韓国国内)問わず行われるようになった。 

アニメ

韓国におけるポケモンの吹き替えは1999年7月に初めて放映され、ほとんどが日本語版を元とした内容であった。ほとんどの登場人物は吹き替えにおいて改名されている。たとえば、サトシはハン・ジウ (한지우 Han Ji-u)、カスミはチェ・イスル (최이슬 Choi I-seul)、タケシはウン ( Ung)となっている。

韓国では、アニメはSBSでシリーズ開始時より放送されていた。現在、アニメはトゥーニバースCHAMP TVアニマックスカートゥーン ネットワーク、ANIONE、JEI-TVで放送されている。

ポケモン不思議のダンジョン 出動! ポケモン救助隊 ガンバルズ!ポケモン不思議のダンジョン 時の探検隊・闇の探検隊といった特別編も吹き替え放送されている。

他の吹き替えとは異なり、韓国語版の吹き替えにおいては現在まで20のエピソード(日本でお蔵入りとなったものも含む)が放送されていない。このようなエピソードには、全般に日本もしくは日本文化が含まれているもの、たとえばサムライの登場する無印編第4話や、忍者キョウの登場する無印編第32話などがある。しかしながら、これらのほとんどは無印編のものであり、最後に放送されなかったエピソードは(総集編であるAG編第120話DP編第120話および日本においても放送されなかったエピソードを除き)AG編第55話AG編第56話である。しかしながら、見落としがあったのか、放映されなかったエピソードの多くがDVDとして発売されている。

音楽

英語版での吹き替えと同様、韓国語版吹き替えにおいても日本のものとは異なるオープニングテーマ・エンディングテーマが用意されている。しかしながら、日本語版で対応する楽曲を元にしており、歌詞・スタイル・放映時間(1分30秒)・開始エピソードなどは共通している。

いくつかの音楽CDが韓国で発売されており、2000年にポケットモンスター OST (1版) (포켓몬스터 OST (1집)) が、2003年にポケットモンスター AG (New & Best) (포켓몬스터 AG (New & Best)) が発売されている。

ポケットモンスターは、「포켓몬스터W」として、2020年11月3日以降から「포켓몬스터W Part 2」として2話ずつ放送されている(公式YouTubeチャンネルによれば第33話までの次回予告映像がアップロード済みとなっている)。

キャスト・スタッフ

多くの声優が韓国語版吹き替えに関わっている。

韓国語名 日本語名 声優
ジウ (지우 Ji-woo) サトシ
イスル (이슬 I-seul) カスミ チ・ミエ (지미애 Ji Mi-ae)
ウン ( Ung) タケシ
クァンチョル (관철 Gwan-cheol) ケンジ イ・ヨンジュ (이영주 Lee Youngjoo)
ボミ (봄이 Bom-i) ハルカ
  • ソ・ヒェジョン (서혜정 Seo Hye-jeong) : AG編
  • チ・ミエ (지미애 Ji Mi-ae) : 七夜の願い星 ジラーチからポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィまでの映画
  • キム・ヒョンジ (김현지 Kim Hyeon-ji) : 七夜の願い星 ジラーチからポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィまでの映画(再吹き替え)
チョンイン (정인 Jeong-in) マサト
  • キム・ソヨン (김서영 Kim Seo-young) : AG編および七夜の願い星 ジラーチからポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィまでの映画
  • ムン・ナムスク (문남숙 Moon Nam-suk) : AG編後期
  • アン・ヨンミ (안영미 An Young-mi) : 七夜の願い星 ジラーチからポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィまでの映画(再吹き替え)
ピンナ (빛나 Bitna) ヒカリ チョン・ミスク (정미숙 Jeong Mi-suk)
アイリス (아이리스 Iris) アイリス ジャン・ギョンフイ (장경희 Jang Kyung-hui)
デント (덴트 Dent) デント ナム・ドヒョン (남도형 Nam Do-hyung)
セレナ (세레나 Serena) セレナ キム・ヒョンジ (김현지 Kim Hyeon-ji)
シトロン (시트론 Citron) シトロン シン・ギュヒョク (심규혁 Sim Gyu-hyeok)
ユリーカ (유리카 Yurika) ユリーカ チョ・ギョンイ (조경이 Jo Gyung-i)

カードゲーム

韓国でのポケモンカードゲーム (포켓몬 카드 게임 Pokémon Card Game) は、2000年ウィザーズ・オブ・ザ・コーストからポケットモンスターカードゲーム 第1弾拡張パックが発売されたことに始まる。Pikachu World Collectionにも韓国語のピカチュウが封入されている。2003年に任天堂が販売権を握り、ポケモンカードゲーム ワールドチャンピオンズパックまでのシリーズを発売し続けていた。ポケモンカードゲームDP 拡張パック 時空の創造の発売とともに、韓国語版のカードが「冒険のはじまり」 (모험의 시작)として発売された。しかしながら、この当時の韓国語版商品は、既存カードの固有の組み合わせによるもので、他の言語版の商品などにも対応するものがなかった。日本でポケモンカードゲームBWの商品が発売されるまで、韓国語版商品は日本および北米の商品に対応するものがなかった。

現在の韓国における発売元はPokémon Koreaである。北米での商品と異なり、拡張パック・ランダムデッキ(テーマデッキのこと)・スペシャルセット(プロモーションパックのこと)といった呼称が用いられている。

現在の韓国語版は、英語版のカードデザインと日本語版のフォーマットを組み合わせたものとなっている。特に、カードの両面のデザインは英語版のものと同じである。しかしながら、商品のロゴ、商品名、レアリティマーク、カードの枚数は日本語版のものと同じである。たとえば、ポケモンカードゲームXY 拡張パック バンデットリングの韓国語版のカードは、英語版でのAncient Originsではなく、日本語版のカードと同じく、紫の「XY7」のシンボルと「バンデットリング」という名称が用いられている。韓国語版のメガシンカポケモンのカードにも、英語版カードに見られる日本語のワザ名の代わりに、英語のワザ名がイラストとして描かれている。英語と日本語のフォーマットの組み合わせは、韓国で発売されたウィザーズ・オブ・ザ・コーストの元のデザインと統一しようとしたこと、株式会社ポケモン日本本社の影響が、国際版のカード発売を担っているThe Pokémon Company InternationalよりもPokémon Koreaに影響を与えたことなどが原因として推測されている。

しかしながら、Pokémon Koreaもポケモン韓国リーグ (포켓몬스터 코리안리그 Pokémon Korea League)[7]など独自のイベントを開催している。これらのイベントは、ワールドチャンピオンシップスに韓国人選手が定期的に出場するようになり最高点を迎えた。

マンガ

漫画の商品展開は、ポケットモンスターSPECIAL (포켓몬스터 스페셜 Pocket Monsters Special) が1999年8月に大元 C.I.が発売したことに始まる。これより、日本で発売されたすべての巻が韓国でも発売されている。最近発売されたのは2015年8月25日に発売されたポケットモンスターSPECIAL 第51巻である。日本語版と韓国語版で大きな変化はないが、最初21巻は左右逆に印刷されて発売された(韓国における本の読む向きに揃えるため)。それ以降は日本語版と同様の向きで印刷されている。

ポケットモンスター PiPiPi★アドベンチャーも韓国語版に翻訳されている。

脚注

関連項目

外部リンク