アンブレラ
有限会社アンブレラ(ゆうげんがいしゃアンブレラ)は、かつて存在していたゲームソフト開発会社。『ピカチュウげんきでちゅう』や『ポケモンチャンネル』など多くのポケモン関連タイトルの開発を行った。代表取締役社長は小澤宗明(現・株式会社クリーチャーズ取締役[1][2])が務めていた[3]。
概要
1996年6月に小澤宗明らによって、気の合う仲間たちとゲーム開発を行うための「手段」として東京大学理論科学グループの学生やOBが中心となって設立された[3][4]。会社名は「バイオハザードシリーズ」に出てくる架空の会社「アンブレラ社」に由来する[5]。「アンブレラ」は会社名を決める際に案のひとつとして出され、特に「バイオハザードにこだわりたかったわけではな」いが、「イメージするものがニュートラルで、言葉の響きもいいんじゃないか」として選ばれた[5]。
リクルートと任天堂の合弁会社であったマリーガル・マネジメントと契約し[4][6]、マリーガル・マネジメントのサポートを受けて「一番目立ちそうで、かつ、おもしろいもの」を開発しようと考え、それまでゲームシステムとして用いられていなかった音声認識技術に着目して『ピカチュウげんきでちゅう』を開発した[4]。マリーガル・マネジメントが2003年に解散した後もゲーム開発を続け、ニンテンドーDSのロンチタイトル『ポケモンダッシュ』やWii『みんなのポケモン牧場』を開発した。2009年に発売したWiiウェア『乱戦! ポケモンスクランブル』以降は、「ポケモンスクランブル」シリーズとしてニンテンドー3DSやWii Uにて続編タイトルを開発していた。
2011年に配信された『スーパーポケモンスクランブル』の「社長が訊く」では、石原恒和とともにアンブレラの小澤宗明と松村憲明が同席した[7]。インタビューでは、石原から『ポケモンダッシュ』がポケモンとして最初のニンテンドーDSソフト、かつ『スーパーポケモンスクランブル』もポケモンとして最初のニンテンドー3DSパッケージソフトであることから「アンブレラには、『初の』というのがけっこう回ってくることが多い」と紹介されており、岩田聡も「ハードがまだ完成していなくて、まだいわば“生煮え”のうちに『触ってみませんか?』と言うと、すごく楽しそうに触るような人たちだから」と補足されている[7]。岩田は、加えて任天堂としてもアンブレラには「“生煮え”のうちに新しいハードの提案をすることが多い」と明かしている[7]。2013年に発売された『ポケモンスクランブル U』も、ポケモンとして最初のWii Uソフトとなっており、別売りのNFCフィギュアを用いる遊びはWii Uタイトルとして初めてNFCを用いた機能となっている[8]。
2020年10月16日、クリーチャーズはアンブレラとの合併公告を官報に掲載し、アンブレラを吸収合併することを発表した[9]。これによりアンブレラは解散となり、アンブレラの権利義務はクリーチャーズがすべて承継した[9]。
作品
- ピカチュウげんきでちゅう (1998)
- ポケモンチャンネル (2003)
- ポケモンダッシュ (2004)
- みんなのポケモン牧場 (2008)
- 乱戦! ポケモンスクランブル (2009)
- スーパーポケモンスクランブル (2011)
- ポケモンスクランブル U (2013)
- みんなのポケモンスクランブル (2015)
- ポケモンスクランブルSP (2019)
脚注
- ↑ 代表取締役交代のお知らせ - 株式会社クリーチャーズ
- ↑ 役員人事に関するお知らせ - 株式会社クリーチャーズ
- ↑ 3.0 3.1 有限会社アンブレラ プロフィール、ほぼ日刊イトイ新聞 - 樹の上の秘密基地
- ↑ 4.0 4.1 4.2 (第3回の1)「いちばん最初の作品だから目立つものにしたかった」、ほぼ日刊イトイ新聞 - 樹の上の秘密基地
- ↑ 5.0 5.1 ゲームはまだまだ新しくなる! 新世代の主役たち、ほぼ日刊イトイ新聞 - 樹の上の秘密基地
- ↑ Marigul Management, Inc. game company、IGN、2002年10月31日時点のInternet Archive。
- ↑ 7.0 7.1 7.2 社長が訊く『スーパーポケモンスクランブル』|ニンテンドー3DS|任天堂
- ↑ Wii U初!Wii UゲームパッドにNFCフィギュアをかざせば、ゲームの世界と連動! - NFCフィギュア|『ポケモンスクランブル U』公式サイト
- ↑ 9.0 9.1 クリーチャーズ、ゲーム開発会社アンブレラを吸収合併 | オタク産業通信 :ゲーム、マンガ、アニメ、ノベルの業界ニュース、2020年10月16日投稿。